2011年3月23日水曜日

<はじめの1巻>「魏志 文帝紀 建安マエストロ!」 新解釈の三国志 若き日の曹丕を描く

 1巻が発売されたコミックスの中から、編集部と書店員がお薦めする作品を紹介する「はじめの1巻」。今回は、中島三千恒さんが描くウェブコミック「コミックヒストリア」で連載中の「魏志 文帝紀 建安マエストロ!」(620円)だ。

 英雄?曹操の息子で、後に魏の初代皇帝となる若き日の曹丕は、父を支えるために公人として活躍する一方、詩を愛し、美術品をめでる趣味人だった。だが、詩に天才的な才能をみせる弟?曹植との関係は、本人たちの思いとは裏腹にこじれ、両者の後継者争いがおこる……というストーリー。やる気のない青年?司馬懿、ダメ息子をしかる子煩悩?な夏侯惇といった三国志でおなじみの人物が意外な目線から生き生きと描かれている新解釈の三国志だ。

◇編集部からのメッセージ メディアファクトリー コミック出版部 遠藤雅己さん 「理想を抱きながらすれ違ってゆく兄弟の物語」

担当「…主人公が曹丕ってマイナーじゃありません?」

中島「だって曹丕は超スイーツ(笑)なんですよ。例えば(以下、逸話を列挙)」

担当「スイーツ曹丕、いいですね!」

 そんな打ち合わせで開始が決まった本作品。……と言うとふざけてそうですが、そこは前作「赤壁ストライブ」でも正史をベースにした新たな「赤壁の戦い」像を提示した中島三千恒さんです。丁寧な取材による独自の解釈を下敷きに、文学や食文化、異民族との関係などを題材に、合戦シーンはほぼ皆無ながらも、真正面から「三国志」を描いた作品となっていますのでご安心ください!

 序盤はコメディー色強めですが、曹丕は天下最大の実力者?曹操の子。弟?曹植と良好な関係を保ちたい曹丕自身の意志とは関係なく、物語は必然的に曹操の後継者の座を巡る兄弟同士の派閥抗争へ突入していきます。

 共に詩を愛する兄弟でありながら、なぜ曹丕と曹植は争わねばならなかったのか。お互いに理想を抱きながらすれ違ってゆく兄弟の物語にも注目です!

 やる気のない元ニート参謀?司馬懿や猛将夏侯惇のドラ息子?夏侯楙が活躍する三国志マンガは本作だけ(のはず)!

◇書店員の推薦文 鹿児島?ひょうたん書店西田店 筒口征洋さん 「三国志好きはニヤリとさせられるかも」

 三国志マンガとして、文学や政治を話の中心とした点が目を引く……と書くと堅苦しいですが、読めば実に華やかで明るいノリ。描き込まれた作画による宝玉や衣装の数々を眺めていく楽しさがあり、また全体のトーンも和気あいあいとしたコメディー調。その上で当時の文化的要素と政治劇を織り込むことで、気軽に読めるのに歴史物としても読み応えがある作品になっています。あと今まで裏方役であった文官たちが話の中心となっているのも、三国志好きにとってはニヤリとさせられるかも。

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引用元:ローズ(Rose) 専門サイト

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